Baronesa P. 2018

「このワインは、母へのオマージュである以上に母が私たちに託してくれた宝物です。チリのテロワールとロスシルド一族がこれまで培ってきたノウハウ、そして、ひとりのカリスマ的人物との奇跡的出会いの中に生まれました。Baronesa P.(バロネサ・ピー)を短い言葉で表現するなら、妥協を許さない姿勢、エレガンス、燃えたぎる情熱でしょうか。

妥協を許さない姿勢は一族に連綿と伝わる理念です。Baronesa P.(バロネサ・ピー)のワインづくりにも如実に生かされています。ボトルもワインもエレガンスを具現化していると言えます。そして、燃えたぎる情熱を感じさせるスタイルのワインです」

フィリップ・セレイス・ド・ロスシルド
株式会社バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド、代表取締役会長兼 CEO

Baronesa P.(バロネサ・ピー)は、エスクード・ロホが誇るミクロサイズの秀逸テロワールを厳選。長い年月をかけて土壌とぶどう栽培に関する確かな知識と経験を培い、ようやく実現にこぎつけたキュヴェワインです。幾度となく醸造を繰り返し、理想的なセレクションへと磨き上げました。バロンヌ・フィリピーヌ・ド・ロスシルド夫人へのオマージュにふさわしいワインの誕生です。

Ecusson Baronesa P. Chili vin

収穫

4月5日〜5月15日

アッサンブラージュ

76% カベルネ・ソーヴィニヨン

9% カルメネール

5.5% プティ・ヴェルド

5% カベルネ・フラン

4.5% シラー

育成・熟成

フランス産オーク樽内で14か月、65% 新樽、35% 1年使用樽

熟成ポテンシャル

10ー15年

テイスティングコメント

深みのある濃い赤ルビー色の外観。紫の光沢。香りはパワフルかつ濃厚で、ブラックベリー、カシス、ブラックチェリーを中心とした小粒黒果実のノートが広がります。その後、ブラックペッパーを思わせるスパイスのアロマが香り立ち、樽内での育成・熟成からもたらされるスギ、バニラ、キャラメル、煎ったヘーゼルナッツの心地良いニュアンスと交じり合います。

味わいの口当たりは複雑でたくましく、優れた凝縮感と芳醇な風味。タンニンはエレガントかつ存在感も十分で、全体をうまく支えています。中盤には複雑な風味がバランス良く広がり、自然なみずみずしさがあります。ワイルドブルーベリーやブラックベリーのノートと、オリエンタルなスパイス香や四川花椒とが優しく交じり合い、ほのかに香るタフィーが全体を引き立てます。凝縮した味わいとバランスは後味まで健在で、小粒黒果実のアロマが余韻となって残り、含みにはペッパーや煎ったアーモンドを思わせるノートが香ります。後味の余韻は力強いばかりでなくエレガント。長期熟成向きワインとしてのポテンシャルを感じさせます。

テイスティング with エマニュエル・リフォー

ワインメーカー、バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド・チリ

カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、そしてシラー。これらのぶどう品種は「地中海系」気候のもとで育ちます。夜になると冷たい空気がアンデス山脈から下りてきて、特に夏の間、渓谷一帯は涼しい空気につつまれます。また、この自然現象こそ、昼と夜の気温差を広げる要因でもあり、カベルネとシラーにとっては果実の成熟に理想的な環境が整っています。

カルメネールおよびプティ・ヴェルドも「地中海系」気候の良さを生かして育ちますが、カベルネやシラーの栽培地域と比べると平均気温が1度ほど高めの地区で栽培しています。これはカルメネールとプティ・ヴェルドはいずれも晩熟品種であり、このような環境でこそ最適に凝縮および成熟できるからです。カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、シラーは、1997年、2003年、2009年に植栽し、構成バランスの良い沖積土壌で栽培しています。地下3メートルの位置に基盤岩があり、その上に礫、シルト質・粘土質・砂質、さらにはシルト質・粘土質の土壌がたまっています。一方、カルメネールとプティ・ヴェルドは1998年に植えつけ、深さのある粘土質土壌で栽培しています。しなやかでエレガントなタンニン・ストラクチュアはこの種の土壌に育つぶどう特有です。

Baronesa P.

天候と収穫状況について:

2018年ヴィンテージは終始良好な天候に恵まれ、ぶどうは順調な生育を見せました。年降水量は過去8ヴィンテージと比較すると25-30パーセントほど少なかったものの、そのうちの75パーセントは冬の雨で、土壌にたっぷりと水分が供給されました。これは植物の生育にとっては申し分ない環境です。その後も絶妙なタイミングで暑く乾燥した天候と冷涼な天候に恵まれました。アロマおよびフェノール成分、いずれも最適な成熟を得て、理想的な日程で収穫を迎えました。
収穫は4月5日にまずカベルネ・フランからスタート。その後4月9日にシラーへと続きました。カベルネ・ソーヴィニヨンに関しては4月19日から26日かけて、アロマとフェノール成分の成熟がバランスよく得られたタイミングで収穫を実施しています。安定した天候に恵まれたこともあり、作業は5月まで先延ばしにし、カルメネールの収穫は5月2日から5日かけて、プティ・ヴェルドは5月14日および15日に実施しました。

平年より少なめの降雨と平年より高めの気温。ぶどうの生育サイクル全体にわたって適時に適度な雨と気温に恵まれたことは、2018年を特にバランスに優れたワインに仕上げる大きな決め手となりました。

たっぷり豊かでたくましい風味、それでいてエレガントで繊細なヴィンテージです。特に果実味にチリワインらしさが表れています。味わい中盤に感じる凝縮感とその果実味がうまく組み合わさり、複雑で濃厚な風味を生みだします。テロワール本来の魅力が詰まったワインです。チリにとって2018年は偉大なるヴィンテージのひとつ。高い熟成ポテンシャルを秘めています。

Ecusson Baronesa P. Chili vin